毎年ストーブシーズンがオフになったタイミングでメーカーを訪問しています。5月に入ると家の欠席が許されない大事な行事である”田植え”と、連休明けから連日のシーズンオフメンテナンスで予定がびっしり。ありがたいことに。よって出張行くのは4月末しかありません。毎年悩まされる花粉症も終わる時期です。

出張先は岐阜県内。下呂温泉の近くにシモタニさんが、富加町には豊実精工さんが所在しているので、毎年岐阜旅行ならぬ、岐阜訪問がルーティーンになりつつあります。

20160426_124550_R写真は飛騨川を挟んで西側の山から撮影したものです。林業が盛んな地域ですので、手入れの行き届いた山が多いように感じます。

メーカー以外にも下呂には「ぬく森ペレット」の製造者の南ひだウッド協同組合さん、高山まで足を伸ばせば木質燃料さんもあるので、クルマで行ってペレットを積み込んで帰るのもルーティーンになりつつあります。

毎年のメーカー訪問は、昨年から始めてみたのですが、得る所が多いのを実感しています。シーズンオフのこの時期ですとメーカー側も繁忙期を終えているので受け入れに余裕があり、ゆっくり話ができます。製造ラインを自分目線で見学しながら、今後の開発の方向性や変更点、課題などを話題に。こちらからの要望も伝えます。これはやはり実際に訪問するのと電話で話すのとでは、会話の濃さが違います。
実際に並んでいる仕掛品や機器を見ると、そこから気づくこともあり。ペレット業界も毎年成長、充実しているので、その時点での会話がすごく楽しみです。開発中の話題は紹介できないのが残念です。

これまで、国内のペレットストーブメーカーの方向性は、よく言えば独立独歩、悪く言えばばらばらでした。2020年に住宅の省エネ基準が厳格化される国の動きがあるので、私たちの業界も「日本ペレットストーブ工業会」を発足させ、ストーブの性能に関する検査方法の共通化や取付工事や排気管(煙突)に関すること、また燃料である木質ペレットの品質基準などについて、侃々諤々の議論が進行中です。ペレットストーブがごくわずかしか選ばれていなかった数年前の状況とは変わり、次第に暖房機として認知され選択される機会が増えているため、比較のためにも性能表示の規格化が必要になっています。国の制度で認定される”カーボンニュートラル”な”省エネ機器”となるためにも、次の段階に進むときが来たといえるでしょう。メーカー各社の立場からすれば、自社の現況に合った規格にしたいと考えても不思議ではありません。もし自社製品では適応しにくい規格になってしまうと、設計変更を伴う変更を余儀なくされます。しかし、対応するなら今がベストなタイミングだと思います。

今のところ国内のペレットストーブ市場は年間1万台程度の小規模なものです。この規模ですと、製造ラインの規模は、ラインよりもバッチ式(一機ずつ完成させる)に近い感じでしょうか。稼働率も低いはずです。これがもし市場が今の10倍、100倍となってからですと、面倒なことになるでしょう。
今後の伸びが期待できるが現状ではまだ小規模にとどまっている、この時期に、国内横断的な規格化を進める意義は大きいと思います。
現時点で国内各社が合わせやすい規格に留めず、先行してペレット・木質に関わる各種の規格化が進んでいるヨーロッパの状況を参照して合意できるか。現時点のやりやすさよりも、先を見て少々難しい課題だとしても踏み込む意向があるか。

シモタニさんは、この一連の取り組みの中で主導的な役割を果たしていますし、豊実精工さんも前向きです。それは訪問前からわかっていたのですが実際のところどんな感じか聞いてみたい。そのような訪問目的を持ちつつ出張してきました。