昨日のメンテで、お客様に悪いことをしてしまいました。
お詫びと反省を兼ねて、ブログにまとめます。

長文になりますので、結論を書いておきます。

雨天(高湿度)時、外気導入をしている場合は、ストーブに火を入れると、その後、かえって炉内~排気経路は濡れてしまいます。このメカニズムを見落としたまま協力要請をしてしまっていました。どうもスミマセン。

乾かすために火を入れる場合は、メンテ日近くの晴れた日に行ってください。日程的に難しい場合は、そのままでけっこうです。どうしても乾かさなければメンテできない場合でも、持参機器一式の中にヒートガンもあるので大丈夫です。

高湿度時、もし火を入れる場合は、停止後に湿った外気を取り込まないように給気部閉じるなどの措置が必要です。また、メンテ前に火を入れる代わりに乾燥剤を入れて、トップ部に蓋をして気流を止めるなどの措置をすればベターですが、そこまでやるのはかなーり面倒かと思いますので、そのままでもけっこうです。

以上が結論になります。

以下、ん?いったい何があったの?という事の顛末を。

当方ではメンテナンスにお伺いする前日に、
「できれば30分~1時間程度、火を入れて乾かしておいてください」
と、お願いをしています。

炉内や排気筒の内側が濡れていると、灰やススが貼り付いてしまって集塵機で吸えないためです。特に“輻射型”やそれに近い機構のストーブは、シーズンオフ時は常時、熱交換部が部屋の空気で冷やされているので、結露しやすいのです(炉内は給排気筒を通じて湿気の多い外気とつながっているので、特に冷房の風がストーブに直接当たると炉内の結露が著しくなります)。

ペレットを使い切ってしまいっているお客様もいるので、「できれば」という程度でお願いしています。

昨日は、午前午後とも輻射型の、同じ形式で排気筒も同じ仕様のお客様宅でのメンテナンスでした。

午前にお伺いしたお客様宅で。
「排気筒内が湿気ている。。。」(写真はメンテ後)

掃除はできるレベルでしたが、ブラシに濡れたスス、灰がこびりつき、その掃除が必要になりました。午後も使うし、周囲を汚してしまう可能性が高まるので。

お客様は私の言いつけどおり、前日にしっかり火を入れてくれたそうです。しかも3時間。その上、私がお伺いした際には、燃料タンクから燃焼皿(ロストル部)等々しっかり掃除された後でした(今回は経路のみのお掃除コース“簡易メンテナンス”のご依頼だったので)。たいへんだったかと思います。

それで、
冷えた後に掃除を始めようと扉を開けたら、炉内がもう濡れていた、と。

ああ、そうか。そういうことか。

これはお客様に乾燥のお願いをするのは、ちと難しいぞ。条件がよければいいけど、正確にご説明するのはなかなか難しい。給気もFFの場合、FEの場合で結果が違うだろう。

メンテ日は雨が上がった曇天模様。前日が雨で、夜から朝は雨は止んでいたものの、湿度はこの図の通り(気象庁の記録からトリミング)。

排気筒を屋外で立ち上げて、給気は屋外の筒の一番下から取って、それを燃やして外に送って、トップ部から排出。これが国産ペレットストーブの一般的な屋外立ち上げの方式です。筒(管)は給排気二重管。

実は、不使用時も空気が常時流れています。排気が上で給気が下なので、途中にストーブを経るものの、気圧差があるので微妙な煙突効果が常温でも生じているのです。

これが、ストーブを停止後は。
排気のファンが停止した後でも、炉内はまだ熱を持っていますので排気筒を通じた排熱が無電力で続いています。その際、つまりは屋外下からの給気も続いている。常温の時よりももっと。外が湿気ている場合はご想像のとおり。

乾燥させたつもりが、ストーブを燃やしたことで、火を入れずに放置していた場合よりも、湿気を取り込んでしまった、という顛末でした。

PMは、すぐご近所での作業でしたので、作業前(AMのうちに)に現況確認にお邪魔しました。乾燥はさせていない、使用終了から数ヶ月放置、とのこと。それで内側は、

「湿気ていない。。。」(写真はメンテ後)

ああ、やはりそうだよな。というお話。
PMの作業時、スムーズでした。

すみません、協力のお願いの仕方が間違っておりました。

しかし、依頼するとなると、お願いの仕方が少々小難しい。

ただ、幸いにも当店の近隣のお客様は、理系・技術系の方が多かったり、遠方だとしても、当方の“性格”を受け入れてくださってご依頼いただく場合が多いです。「もっとしっかり理解してストーブを使いたい!」というお客様に比較的恵まれているので(乾燥依頼の仕方は考えなくてはなりませんが)、少なくともブログにはこうした少々面倒くさいことを、そのメカニズムというか背景とともに掲載するのを喜んでくださるだろうと勝手に想像し、アップします。ご笑覧ください。

そういうわけで、乾燥はできればやっておいてください、という程度のご認識でけっこうです。