滅多に更新しなくなってしまったブログですが。

ある取引先の商社さんからペレットストーブ講習をご依頼いただきましてレジュメ作りました。有償でやらせてもらったものであり、今後は積み上げた技術の公開にはそれなりの対価をいただいていこうと考えているので内容は一部伏せてアップします。今後も有償の講習会も計画しているもので参加者にお応えしないととの思いもあり。

 

今回は正味一日だったのと、ご依頼いただく経緯がわかっていたこともあり、内容は絞り込みました。

詳しい内容を知りたいというご要望は開催の講習会開催のご要望お寄せください。

※A4で5ページ相当ですが、講習時は7割脱線してます(笑)。

写真、データ、参考文献、過去に作成したパワポなどに飛びまくってます。

自分の講習会では、データや資料はあまりお渡ししません。せいぜい文献リストくらい。

 

 

途中、「■■■」で伏せているところあります。

プロならわかって当たり前のことではあります。

 

ここから。

 

2022年 ペレットストーブ研修レジュメ

 

・なぜ今回? 件の出来事への対応についての反省から?

・これを契機に断熱気密への対応について大括りに理解する

★           担当者が販売店に対し的確な説明、指導をしていくため(応援します)

・「ペレットストーブ(PS)」について、日本の現状を踏まえて掘り下げる

※ただし!短時間でガイドできるのは入り口だけなのでご了承ください

 

 

!!! トラブル発生  !!!   →  的確な対応とは?

・現認から解決までのロジックが納得できるものであること(即決できないこともある)

・その場しのぎの不確かな説明をしてしまうと混乱、不信を招く

・ユーザーのその時点の要望には応えられないこともある 「いいから早く解決しろ!」

・こじれると通る話も通らなくなる。自分も経験あり

・(滅多にないが)もしキレ対応されたらその時こそロジックを立てて淡々と

 

確信をもって対処していくためには、知識、技術(エビデンスの積上げ方)、経験が不可欠

ロジックの組み立てで力量の違いが顕になる!

「現象」を確認し、複数の可能性を検証、潰していく。時に全交換・代替機やむなし

→ (メーカー/輸入元に)求めた助言に納得できず、解決もせず自分でやっていくしかない事件が何度か

※そもそも、それほどトラブルが多いわけではないが

 

トラブル対応時の「混乱」

・メーカー/輸入元と販売店が、

「①       ストーブ」およびそれが「②稼働する環境」についての理解が乏しいので起きている

①           は、制御、燃焼、伝熱

②           は、諸々の住宅仕様

 

①           当該ストーブが適切に燃焼している状態 のレンジと逸脱 を把握する

・目視に加え、どのように「数値化」して示すか → 根拠!説得力!

・どのような機構で適正燃焼を実現、維持しているか?また外れるか?

 

②           工法は多種多様だが(ストーブの燃焼および工事に影響する)完全に理解しておくべき基本事項はそれほど多くない

 

■「適切な燃焼状態」をどう判断するか?

・まずは目視       ■■■■■■■■■■■■

・データ              ■■■■■■■■■■■■  平易に数値化するための機器類は?

※普通は、             ■■ ∝  ■■

※PSでは               ■■ ∝-1 ■■ が観察されることがある。■■■なのに燃焼不良?とはどういう状態か?

 

→ 環境条件が変わりそれが燃焼に影響すると、即座に数値変化に現れる!

・「適切な値」が既知であれば、正常/異常(逸脱)の判別つく

~ カタログ値はチャンピオンなので当てにならない

~ ■■■■■■■■■■■■データを把握しておかなければならない

Ex) ■■■■■■■■■■■■させてみる

 

・■■■ ∝ (燃焼)■■■  ∝であって=ではない

~ 「機外静圧」の理解は換気理解でも役立つ。回転数が同じでも流量は変わる。■■■

~ 燃焼制御で一番確実なのは、■■■■■■■■■■からのフィードバック

 

■PSとは?

「ペレット」だからできるようになったこと。「ペレット」が存在する産業になった理由

手書き図表参照

 

・「燃焼機」+「熱交換機」であり、焼却炉 ではない

・固体燃料であり十分な余剰空気を必要とする

・過剰すぎる空気は燃焼不良※と効率の低下につながる

※タール、木酢、結露、PM

 

PSによる暖房とは、

              燃焼熱の熱交換    図 参照

 

※燃料の連続供給とバッチ式で決定的に異なる燃焼の性質

 

温風型の熱交換と輻射/蓄熱型のそれ。構造の違い     図

Cf. PZ E228C

 

※燃焼で発生する熱量が変わるわけではない!伝熱の違いによる体感、温熱環境の違い

「エネルギー保存則」くらいは常識として。変な説明しないこと 

 

 

■故障・トラブルの診断

・図示 ■■■■■■■■■■■■  ★これ、レベルアップに効きます!

 

・どの段階でエラーか? エラーコードは?

・規則性は?

・通常運転に至るシーケンスで? 燃焼中にセンサー、フィードバックで? 絞り込む

 

 

・■■■■■■    …

・差圧スイッチ                  …

・■■■■■■                                …

・フローメーター              …

・回路設計                         …

・突入電流                         …

・昇温不足                         …

・コンデンサ内蔵変更       …

 

 

 

電気屋さんは修理できて当たり前。 ストーブ屋は? 半端な業者が多くないか?

販売数=ハイレベル ではないから(技能は向上するけれど)。慢心は学ぶ意欲を失わせる

数値化し、公開の場で討議し技術を高めよう!

 

 

 

 

■余談

感覚を鍛えるために、

 → フェルミ推定 で未知の事柄を数値で表してみよう。次第に大きく外さなくなる。

 

■Checkできること

・■■■■■■

・■■■■■■、■■■■■■

・■■■■■■

・■■■■■■

・■■■■■■

・■■■■■■

・■■■■■■値からのズレ

 

※各パーツの動作原理をしっかり理解しておく!

熱電対、サーミスタ、抵抗温度計、圧力キャピラリー式、バイメタル、エストラマーダイヤフラム圧力スイッチ(いわゆる“負圧センサー”。逆圧・閉塞ON/OFF用、炉内圧計測と空気量制御用)、残量センサー、フローメーター(熱式、オリフィス差圧式) くらい、かな。

 

※「瞬間」だけでなく「推移」も把握しておく。同じはず、なのに炉内圧が変わっていく。

 

 

 

 

■では、シンプルな方がよいのか?

→ 何とも言えない。

・差圧スイッチの有無

・アナログ出力設定

・ダンパー付き ※室内負圧過大の際、差圧スイッチの想定と異なる条件

「好き」なユーザー以外には不適のように思えること多し。“慣れ”で不適切な自己流も。

 

←→       “賢い※”ストーブが自動でコントロール ついで 販売店が設定する

 方が確実。特に層が広がると。

※ただしエミッションからのフィードバックではないので適正燃焼か否かの判断は販売店

 

 

※搭載して欲しい機構(特許申請含む)を5、6年前から各社に提案してきたが、残念ながら採用に至っていない。なお、否定・反論されたことはない。■■■■■■

 

■これから販売店をガイドしていく立場の人に求められること

・Youtubeで公開している2020年のペレットストーブ工業会での小林のプレゼン内容を踏まえて意見してください!やれる限りのことをやり公開済みなので。(一部非公開)

・「現代の住宅」についての正確な理解(自分の嗜好はここではどうでもいい)

・高断熱化、高気密化と その経緯!!!

 

 

・気密層の形成方法     スリーブ付きで図示

 

 

・断熱のパターン 他と決定的に異なるのは ○○○

・換気システムのパターン

 

いろんなパターンがあるが原則がわかっていれば応用が効くはずだ

 

・なぜ気密漏れ、断熱欠損を抑えなければならないか?  そのための技法は?

 

・「C値 1」とはどういう状態か?

・第一種では「C値 ≦ 0.5」が必須、とされるのか?

 

・なぜ、A社の壁面化粧金物は結露事例が報告されるのか?たぶんB社のも

 

・計画換気が機能している家では、だいたいMAX負圧は○○Paくらい

・その際、ストーブは適切に燃やせるか?どの程度までの変動を許容できるか?

※なぜ自分でやることになったのか?

 

・影響を軽減する方法は?

  本体側

 

 

  住まい側

 

 

■間違えちゃいけないのは、

ストーブ屋の仕事は、ユーザーが安心して、温かいペレットストーブライフを実現するための温熱環境を実現することです!そこからブレークダウンしての“技術”、“知識”、“視点”

 

レジュメはここまで。

 

追記
今回、事実上のハンティングで新たに入社された生産技術のベテランの方も来てくれたので各論点を具体的に突っ込むことができました。そういう形でできることはほとんどないので。

上で字は伏せている箇所ですがが、理解が爆上がりする演習があります。今回もやってもらい「そうですよね~ これがわかっていれば出来るんですよね~」と評価いただきました。演習では完成させるところまでは時間と基礎資料の都合でやらないので持って帰って仕上げてもらいます。メーカー/輸入元からの提供を待つのではなく、自分で作成してみるのが肝要です。

あと、今回やって感じたことが2つ。

断熱・気密(+換気)のことと、燃焼+伝熱工学的な内容の盛り込み方の工夫について。

断熱気密については、深めの知識がないとその応用が難しいので短時間での講習が難しい。これはいつも感じるのですが。
その上でペレットストーブとその工事、どうするか?という話になるので。

時間を確保して実習(壁貫通、気密処理、ストーブ燃焼、変動、測定)までできれば完璧ですが。

 

燃焼については、ほとんどわからなくても仕事は何とかなってしまうので、たぶん大半のストーブ関係者の知識から抜けている領域です。
木質の炎が出すエネルギー(熱)の形態と、ガスや特に水素ガスではまったく異なる。しかし、熱量自体は物質が燃焼で生じさせる能力としては炭素なら炭素、水素なら水素の規定の熱量であって変わるわけではない。しかし、違いがある。その違いは何か?その違いに応じてより温熱環境を快適にするように輻射する構造を形成させたり、無駄のない熱交換経路を設計する、、、なんて話に展開していくと、これはもう思いっきりストーブの突っ込んだ面白い話になるわけです。
聞く人の興味をより掻き立てるように話せるよう、私がもっと工夫しないとな、と思いました。

いつかペレットストーブ関連技術大全まとめられればな、と思っています。